最近便秘についての接客が多いような気がするけど、そういえば便秘についてってあまり知識が無いような…。
便秘の具合も人によるし、何日くらい出ないとまずいんだっけ?
なんか便秘の種類もいくつかあったような気がするけど忘れちゃったな…。もう一度確認しておかないとな。
こんな要望にこたえる記事です。
私は現役のドラッグストア正社員です。登録販売者の資格も持っていますが、上記のようなことで困っていました…。
時々会社の研修的なもので勉強することもあるのですが、ここ最近便秘についてお悩みのお客様が多いような気がしてあまりうまく答えられてないなと思いまして…。
この記事ではそもそも便秘はどれくらいでないと便秘なのかと、便秘の種類と原因について確認できる記事となっております。
便秘薬については別記事でも解説・紹介しておりますのであわせて見ていただくとより再確認に良いかと思います。
そもそも便秘はどれくらい出てないと【便秘】なのか?
便秘とは学会やガイドラインでいくつか定義があります。
- 【3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態】
- 【排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指す】
- 【本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態】
- 何日出てないと便秘かというとりあえずの日数は3日
- 毎日排便があってもスッキリしなければ便秘の可能性あり
- 便が硬い、水分が少ない状態も便秘
そして毎日出てても「残便感がある状態」では便秘のようです。逆に毎日出ていなくても、残便感がない、スッキリできているのであれば便秘ではないということです。
全く出ないのがしばらく続くだけではなかったんですね。次に便秘の種類について確認していきます。
こちらの記事では便秘薬に配合されている成分を解説したものになります。あわせて確認にどうぞ。
便秘の種類は大きく分けて【2つ】ある
- 機能性便秘
- 器質性便秘
- 弛緩性便秘
- 痙攣性便秘
- 直腸性便秘
機能性便秘
一般的に便秘といったら多くは「機能性便秘」です。食生活や生活習慣、ストレス、加齢などの影響で自律神経のバランスが崩れることが主な原因です。
自律神経のバランスが崩れることは、排便機能の働きの乱れにつながり便秘になってしまいます。さらに機能性便秘は3つに分かれますが、それぞれについて解説、確認していきます。
弛緩性便秘
弛緩性便秘は「弛緩」とあるように、大腸が弛緩し便がとどまってしまうことで起こる便秘です。大腸が弛緩してしまうと運動機能が低下し、ぜん動運動が十分に行われなくなってしまいます。
- 食物繊維の不足
- 運動不足(腹筋力の低下)
食物繊維は水分を吸収して膨らみ腸を刺激してくれるので、食物繊維が不足すると腸の働きが鈍くなってしまいます。
また運動も腸を刺激してくれるのですが、運動不足になると腸への刺激が減るので腸の働きが弱くなり便秘の原因の1つとなってしまいます。
便秘の中でも特に多く見られるのが弛緩性便秘で、若い女性や高齢者の方がよく悩まれています。
- 腸の働きが低下しているので、刺激性の便秘薬で腸の運動を促進する
- 食物繊維配合の便秘薬で便のかさを増して腸を刺激する
つまり普段の食事を規則正しく摂取することも改善の1つの手段ということです。
痙攣性便秘
痙攣性便秘は大腸が痙攣してしまい、ぜん動運動が不規則になることにより便がうまく運べなくなってしまう便秘です。コロコロしたうさぎの糞のような便が特徴です。
痙攣性便秘の原因は主にストレスによる自律神経のバランスの乱れです。腸の働きは自律神経で管理されているので、バランスが崩れることで働きも乱れてしまいます。
働き盛りの若年層など仕事に家庭にストレスが多く、うまく息抜きできない人がなりやすいとされています。腹痛や残便感が症状としてみられ、便秘と下痢を交互に繰り返すこともあります。
痙攣性便秘の場合、腹痛が強まることがあるので刺激性の便秘薬は避けたほうが良いです。便秘薬を使うより整腸薬で様子を見て、なるべくリラックスしたり食生活を見直しましょう。
直腸性便秘
直腸性便秘は直腸に便が到達しても、便意を感じられず排便できない便秘のことです。排便習慣が不規則な人や、排便を我慢することが原因とされています。
本来便は直腸に到達した際に、刺激が発生するので排便反射が起きます。ですが意識的に便意を我慢することで次第に排便反射が弱くなってしまい、便意がわからなくなってしまいます。
特に朝忙しくてトイレの時間を取らなかったり、高齢者や寝たきりの方は直腸性便秘になりがちです。また浣腸を使うことで排便のリズムが狂うことでもなる可能性があります。
便が腸内に長くとどまってしまうと、便の水分がどんどん吸収されてしまいより排便がしづらくなってしまいます。
便秘薬を使うのであれば、便の水分が抜けて硬くなっているので水分を補ってくれるマグネシウム配合のものや、ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)配合のものがいいでしょう。
いったん浣腸でとどまっている便を出してしまうのも選択肢の1つかと思います。以降は必ず決まった時間にトイレで排便を試みるなど排便習慣にも気を配ることも大事です。
器質性便秘
器質性便秘は何かしらの理由があって、大腸自体に疾患がありそれが原因となって起こる便秘です。
大腸だけでなく、胃や小腸、肛門でも原因となりえますが、器質性便秘は生活習慣や市販薬で対処できません。専門の医療機関で相談しましょう。
器質性便秘は、大腸がんやイレウス(腸閉塞)、腸管癒着(炎症などで腸管同士や、他の臓器とがくっついてしまうこと)などの器質的な原因があって、腸管が物理的に変形し通過障害が起こることによって便秘が発生します。
便秘薬を使用してしまうと腸管穿孔(腸管に穴が空くこと)を起こす恐れがあるので、服用は絶対に避けましょう。
便秘薬をお探しのお客様にはまず現在や過去の手術歴を伺って腸管癒着の可能性がないか、大腸がんやイレウスの疑いが無いか確認しましょう。
便秘の原因は主に4つ
ここでは機能性便秘の原因となり得る要素4つを紹介、解説します。(器質性便秘は医療機関でないと対処できません。心当たりのある場合は受診をおすすめしましょう。)
いまの便秘をなんとかしたいのであれば便秘薬を使うのは選択肢の1つです。ですが毎回毎回便秘薬に頼るのは副作用の恐れや、慣れによる効果の低減、根本解決につながらないといった問題があります。
原因が分かれば対策も取れますので、確認して取れそうな手段をおすすめしてみましょう。
栄養・水分不足
栄養不足、水分不足は便秘につながる原因の1つです。
例えば食物繊維は便秘対策をする上で大切な栄養素ですが、不足すると腸内環境が悪化して便秘に繋がります。
腸内環境といえばヨーグルトや漬物などに含まれる乳酸菌も腸内環境を整えてくれますが、食物繊維は乳酸菌のエサになります。
食物繊維は不溶性と水溶性がありますが、水溶性は水に溶けて便を柔らかくしてくれる働きがあります。つまり水分も不足すると便が硬くなり排便しづらくなってしまうというわけです。
(ちなみに不溶性食物繊維は便のかさを増して排便の量を増やしてくれる働きがあります。)
他にも不足すると便秘に繋がりかねないマグネシウムや、いくつかのビタミンがありますが、ダイエットなど食事制限をしていると、これらの摂取したい栄養がとれず便秘になってしまうことがあります。
そもそも食事量が少なければ排泄する量も減りますしね。
いま便秘でお悩みの方は一度食事と水分補給について振り返ってみてはいかがでしょうか?ちょっと改善するだけでも便通が良くなるかもしれませんよ。
運動不足
運動不足も便秘の原因の1つとされています。
なぜなら適度な運動は腸を刺激して活動を促してくれるからです。
決してハードなトレーニングをこなさなきゃいけないというわけではなく、散歩程度の運動でもOKです。正しい姿勢でウォーキングをすると腹筋などの筋肉を刺激することができます。
腹筋力の低下も腸の活動(ぜん動運動)に影響が出るので、腹筋を意識したウォーキングは効果が期待できます。
外に出てウォーキングができないとかであれば、室内で体操をおすすめします。特にラジオ体操であれば1回3分程度で全身の筋肉を刺激することができます。
適度な運動は腸の働きを活発にしてくれるので、最近運動していないなと思ったら少し体を動かしてみてはどうでしょうか。
以下でラジオ体操について紹介しています。よろしければご覧ください。
便意を我慢する
便意の我慢は直腸性便秘のところでも述べましたがよくありません。
排便を我慢してしまうと腸内にとどまることになりますが、その際便の水分をさらに吸収して硬くしてしまいます。硬くなって便は出しづらいですよね。
また決まった時間にトイレに行くことで排便のリズムを作ることができます。特に朝などはバタバタしがちですが、体のことを考えると便意は我慢せずに、トイレタイムをしっかり取りたいところです。
薬の副作用
薬の副作用でも便秘は起こりえます。
例えば風邪薬などに入っている鎮咳成分(咳を抑える成分)のコデインは、副作用で腸のぜん動運動を抑制する働きがあるため人によっては便秘になります。
他にも鼻の症状を緩和する抗ヒスタミン成分も副作用として便秘の症状が現れる可能性があります。
総合感冒薬(いわゆる市販の風邪薬)は風邪の諸症状を抑えるために色々な成分が配合されているため、便秘の副作用が現れるかもしれません。
他にも血圧を下げる降圧剤や、一部の薬は副作用として便秘を引き起こす可能性があります。もし風邪薬などを飲み始めて便秘になったとかであれば、一度医師や薬剤師、登録販売者に相談してみましょう。
まとめ
- 便秘の定義は「これ」といったはっきりしたものがあるわけではなく、いくつか存在する。個人差があるが3日程度出ない状態や、排便があってもスッキリしないようであれば便秘の可能性が高い。
- 便秘の種類は大きく分けて「機能性便秘」と「器質性便秘」の2つがある。
- 「機能性便秘」はさらに「弛緩性便秘」と「痙攣性便秘」、「直腸性便秘」の3つに分けることができる
- 便秘の大半は「機能性便秘」で市販薬で対処が可能なものが多い。
- 「器質性便秘」は市販薬を使用すると腸管穿孔を起こす恐れがあるため服用は避ける
- 便秘の主な原因は生活習慣の乱れによるものが多い。いま服用している薬の副作用の可能性もある。
便秘の種類もいくつかありました。ですが器質性便秘を除いて市販薬で一時的な対処は可能なものが多いです。
原因も食生活の乱れや、生活リズムの乱れなど見直せば改善できそうなものも多そうです。もし便秘薬をおすすめするのであれば原因から対処できるよう一言アドバイスができるとよりお客様のためになるかと思います。
ご覧いただきありがとうございました。